禁煙外来・睡眠時無呼吸症候群
禁煙外来・睡眠時無呼吸症候群

体に悪いことはわかっていてもタバコをやめられない。そんなお悩みはありませんか?
禁煙外来とは、喫煙者が無理をせず、高確率で禁煙するための外来です。
自力での禁煙では、1年以上の禁煙の成功率は1%とも言われていますが、禁煙外来では、治療終了時点での禁煙成功率は約75%、約1年後でも約50%と比較的高率です。
医療機関で禁煙する理由は、タバコに含まれているニコチンに依存性があるためです。喫煙する方の多くは、ニコチンに依存してしまう、ニコチン中毒という状態にあります。この状態をニコチン依存症と診断し、病気として捉えて、医療機関で禁煙治療の保険診療が実施されています。
禁煙外来では、医師による指導やアドバイスに加えて、禁煙補助薬の処方を受けることができます。禁煙補助薬を用いた治療では、離脱症状が緩和されるため自力で禁煙するよりも、比較的楽に禁煙することが可能になります。
禁煙により平均3-4㎏体重増加することがあります。しかし、禁煙によって得られる健康上のメリットは、体重増加のリスクをはるかに上回ります。
「タバコをやめたくてもなかなかやめられない」そんなときは、お気軽に禁煙外来にお越しください。
ニコチンパッチはニコチンを含む貼り薬で、禁煙により体が要求するニコチンを皮膚からゆっくりと吸収させ、補充します。補充量を徐々に少なくしていき、最終的に補充が必要ない状態に持って行きます。
※バレニクリン(チャンピックス)
製造過程で発がん物質が一定量混入することが確認され、2020年から出荷、供給が停止されています。
禁煙治療に保険を適用するためには、下記の条件を満たすことが必要です。
| 設問内容 | はい 1点 |
いいえ 0点 |
|
|---|---|---|---|
| Q1 | 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまったことがありましたか。 | ||
| Q2 | 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか。 | ||
| Q3 | 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコが欲しくて欲しくてたまらなくなることがありましたか。 | ||
| Q4 | 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、次のどれかがありましたか。イライラ・眠気・神経質・胃のむかつき・落ち着かない・脈が遅い・集中しにくい・手のふるえ・ゆうつう・食欲または体重増加・頭痛 | ||
| Q5 | 上の症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか。 | ||
| Q6 | 重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか。 | ||
| Q7 | タバコのために自分に健康問題が起きていることが分かっていても、吸うことがありましたか。 | ||
| Q8 | タバコのために自分に精神的問題が起きていることが分かっていても、吸うことがありましたか。 | ||
| Q9 | 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか。 | ||
| Q10 | タバコが吸えないような仕事や付き合いを避けることが何度かありましたか。 | ||
| 合計 | 点 | 点 | |
※過去に健康保険等で禁煙治療を受けたことがある場合、前回の治療開始日から1年以上経過していないと保険適用になりません。
※2020年度から加熱式タバコ使用者も健康保険による禁煙治療の対象として認められています。
ニコチン依存症のチェック
ニコチン依存症テストで診断し、保険適用の可否を確認します。
一酸化炭素濃度の測定
息に含まれる一酸化炭素(タバコに含まれる有害物質)がどの程度かを確認します。
「禁煙開始日」を決めて、禁煙宣言!
「禁煙開始日」をご相談しながら決め、「禁煙宣言書」を作成します。
禁煙経験の確認とアドバイス
あなたの健康状態やこれまでの喫煙歴、禁煙歴などをおたずねします。ニコチン切れ症状への対処法などを一緒に考えましょう。
禁煙補助薬の選択
禁煙補助薬の特徴と使い方をお伝えします。あなたに合ったお薬を選びましょう。
12週間にわたり計5回の診察を受けていただきます(2週間ごとにご来院いただきます)。各診察時には息に含まれる一酸化炭素の濃度を測定し、禁煙の効果を確認いただきます。また、診察でいろいろなアドバイスを受けていただくことで、禁煙が成功しやすくなります。治療期間中に不安や気になる症状などがありましたらお気軽にご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、寝ている間に一時的に呼吸が止まる疾患です。睡眠中、1時間に5回以上(睡眠中の平均)、呼吸停止(10秒以上)や低呼吸(酸素飽和度が3-4%低下など)が起こった場合、この疾患の可能性があります。代表的な症状は“いびき”で、眠りが浅くなるため、日中に強い眠気や倦怠感を生じることがあります。放置すると、血管・心臓・脳に大きな負担がかかり、高血圧症や狭心症、心筋梗塞、脳卒中などを合併することもあります。できるだけ早く診断し、治療をはじめることが大切です。
原因には鼻から喉頭(のどぼとけ)にかけての狭窄があります。狭くなった気道のすき間を空気が通ることで“いびき”が生じます。いびきの要因は、肥満による首や喉(のど)まわりの脂肪沈着、あごが十分発育していない小顎症(しょうがくしょう)、扁桃肥大、舌根(ぜっこん)・口蓋垂(こうがいすい)・軟口蓋(なんこうがい)による狭窄など、解剖学的なものがあります。また、加齢や睡眠時における呼吸の調節能力の低下など、機能的な要因も関連します。
睡眠時無呼吸症候群は、男性は30~60代によくみられ、女性は更年期以降に多く、閉経によるホルモンバランスの変化も一因とされています。
いびきがひどい、呼吸が止まる・むせる、息苦しさを感じる、寝相が悪い、寝汗をよくかく
頭が痛い、口が乾いている、いくら寝ても疲れがとれない、熟睡感がない、体が重く感じる
強い眠気、だるさ・倦怠感、集中力の低下、記憶力の低下、いつも疲れている、居眠りで支障をきたす(自動車の運転で事故を起こしそうになるなど)
簡易検査と、精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査:PSG検査)があります。当院ではご自宅での検査が可能です。簡易検査は手指や鼻下にセンサーを装着し、睡眠中の呼吸などを調べます。精密検査は脳波計や心電計などを用いて行う詳細な検査です。簡易検査は重症の睡眠時無呼吸症候群に有用であり、ほとんどの場合対応できます。軽症や中等度の睡眠時無呼吸症候群の場合は精密検査が必要な場合があります。自宅で行う方法もありますのでご相談ください。
治療には対症療法と根治療法があり、症状の程度や原因に応じて選択します。代表的な対症療法には、CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)とマウスピース療法があります。
CPAP療法は中等度から重症度に有効な治療法です。睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を開存させて治療します。睡眠中の無呼吸・いびきが減少し、眠気の改善や血圧を下げる効果も期待できます。
マウスピース療法は軽症度に適した治療法です。睡眠時にマウスピース(スリープスプリント)を装着し、下あごを前方に出すように固定することで、上気道を広く保ち、無呼吸やいびきの発生を防ぎます。
原因が肥満の場合は減量が根治療法であり、対症療法を組み合わせて進めます。あごの小ささや扁桃肥大などが原因の場合は、手術が根治療法となります。鼻疾患を有している場合、マウスピースやCPAP療法で十分な効果が得られないことがあります。このような場合も手術が検討されます。
このほかに、口呼吸の予防・治療に有効な口腔筋機能療法や、寝る向きを矯正する体位療法などが有効なこともあります。
睡眠時無呼吸症候群は大きく分けて2種類あります。一つは、呼吸運動は保たれているものの、上気道のどこかの閉塞によって、鼻・口の気流が停止する「閉塞性」の睡眠時無呼吸です。もう一つは呼吸運動そのものが停止する「中枢性」の睡眠時無呼吸です。「閉塞性」は世界的にも有病率が高く、様々な循環器疾患と関連することがわかっています。
閉塞性睡眠時無呼吸(以下、閉塞性)は、高血圧の原因になる可能性があり、閉塞性の患者様の半数に高血圧が認められ、高血圧患者様の3割に閉塞性が認められるという報告もあります。また、薬物治療に抵抗性のある高血圧症に、閉塞性が隠れている可能性も指摘されています。
閉塞性は心臓に負担がかかり、心機能を低下させる可能性があります。心不全患者様に閉塞性が合併しやすいことや、閉塞性を合併している心不全患者様では、閉塞性を治療しない場合、死亡率が格段に高まるという報告もあります。
閉塞性は脳卒中の発症リスクが高まるとされています。とくに50歳以上では、脳卒中および死亡リスクが閉塞性でない方の約2倍という報告もあります。
閉塞性は不整脈を合併することが多く、無呼吸の増加や低酸素血症の悪化に伴い、合併頻度も高まります。とくに夜間の不整脈は、半数近くの閉塞性患者様に認められ、重症度では、その発症リスクが2〜4倍に高まるとされています。
冠動脈疾患を有する方が閉塞性を合併する率は、冠動脈疾患のない方の約2倍といわれています。
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